統合失調症 その1

自立に向けて歩みだした娘について……30歳 女性(母からの報告)

(個人が特定できないようにしてあります)

経過
高校2年生の夏休みが終わってまもなく、「皆に悪口を言われている」「仲間はずれにされている」と泣きながら言うようになりました。「電車の乗客が自分を見ている、自分のことを知っているようだ」と言い登校をしなくなりました。「そんなことはないよ」となだめても納得しません。イライラしている様子が続くので心療内科・精神科を受診しました。統合失調と診断され「焦らずに治療しましょう」と言われ安定剤を処方されました。数か月の通院で落ち着いてきましたが、薬を服用するとだるくなり手が振るえると言い受診をやめてしまいました。

その数か月後、幻聴、被害妄想と思われる症状が悪化して、たびたび「死んだほうがいい」と言うようになりました。周囲も不安になり病院を受診したところ緊急入院になったことがあります。よくなって退院したのですが、薬を服用しても辛いのは変わらないと言い、再び服薬をしなくなりました。眠れない日が続き、落ち着かなくなったため再入院になりました。

症状が軽快し退院してしばらく入院先の病院に通院していましたが、近くのクリニックに転医しました。そこで再び病気の説明がなされ、服薬の大切さを説明してくれ、少しずつ処方薬の調整をしてくれました。最近は副作用の少ない薬が開発されているということでした。今まで朝昼夕と寝る前の1日に4回服薬していましたが、朝と寝る前の1日2回の服薬になりました。症状も安定して幻聴はほとんどなくなり、「死にたい」と言うこともなくなりました。

電車に一人で乗れるようになったので周囲の勧めもあり就労支援センターに通うようになりました。センターの職員はその時々に相談に乗ってくれ、友人もできました。約2年間通いました。

仕事をして収入を得たいこと、いずれ家を離れ自立したいこと、を率直に話してみました。職員は否定せず、自立に向けて医師とも相談していきましょうと言ってくれました。その後、本人を中心に両親、センターの職員、医師との面談をし、まず就労していく方向で意見が一致しました。精神保健福祉手帳を取得していましたので、障害者枠で非常勤ですが就労することができました。週4日10時から15時までの勤務です。自宅からの通勤なので貯金をしています。この頃は勤務時間を長くして収入を多くして、実家を出て一人暮らしをしたいと言っています。家族としては不安ですが何とか本人の希望に沿っていきたいと考えています。

まとめ
統合失調症の再発は医療中断がきっかけのことが少なくありません。毎日の服薬は大変ですが、副作用の少ない抗精神病薬が開発されています。また1日に1~2回の服薬で済む薬もあります。この方は医療中断して入院治療となりましたが、その後外来治療を中断せず就労支援センターを利用して安定した状態が続いています。周囲と相談しながら大事な節目には家族はじめ周囲の人の支援を得て就労することができ自立に向かっています。