パニック障害

---不安発作を乗り越えた妻(夫からの報告)---

発病後の経過
商事会社に勤務している妻が、ある日「心臓がドキドキして息が苦しい」と急に呼吸を乱して苦しみだしました。「どうかなってしまいそう」と言うので救急車を呼びましたが、病院に着くころには楽になっていました。念のため検査をしても異常は見つかりませんでした。その後、何回か同様の症状があって病院に行きましたが、やはり問題はないと言われました。

それ以降、妻は「満員電車の中で倒れたらどうしよう」と不安がり、早朝の各駅停車で出勤するようになりました。時々、途中下車してしまい遅刻していたこともあったようです。

やがて、事情を知った上司から精神科受診を勧められ、紹介されたクリニックでパニック障害と診断されました。抗うつ薬を服用し、臨床心理士のカウンセリグを受けて3カ月が経過しました。妻はだんだん落ち着きを取り戻し、いくらか不安になることはあっても決まった時間に家を出て出勤しています。

今では、私から「そのうち、電車で遠出でもしてみようか」と誘っても、笑顔を見せ不安がる様子はありません。

パニック障害の特徴
パニック障害の症状は、
(1)突然、動悸や息苦しさ、めまいなどのパニック発作を繰り返し、
(2)パニック発作が起こることへの予期不安(またあんな状態になったらどうしよう…?!という気持ち)が特徴です。

この女性は、自宅で動悸・呼吸困難が突然生じ、同じ発作が繰り返されました。通勤途上でも同様の発作が起こるのではないかと恐れて(予期不安)早朝に出勤していましたが、それでも時々遅刻してしまい日常生活にも影響が出ていました。パニック障害の典型的な症状といえます。

パニック障害は自分から進んでクリニックを受診することが多いですが、この女性のように周囲の人から勧められて受診することもあります。

パニック障害の原因は、緊張やストレスが影響していると考えられていますが、自律神経や脳内の神経伝達物質の一部が関係していることも、明らかになってきています。

パニック障害の治療
治療は、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)を中心とした抗うつ薬や抗不安薬による薬物療法、そして適切な精神療法です。また、生活のしかたを工夫し、ご家族に患者さんへの対応について協力をしていただくことがあります。

パニック障害は治療によって症状改善が期待できます。
適切な医療を受けることをお勧めします。