社会(社交)不安障害(SAD)

---社会(社交)不安障害から回復してきた娘(母親の報告)---

発病後の経過
娘は、もともと引っ込み思案で、学校でも人前での発表をとても嫌がる子でした。そんな娘も成長し商社に就職しました。半年した頃から、社内の会議に出る前になるとお腹が痛くなると言い、欠勤するようになりました。初めて参加した会議で、手が震えて頭が真っ白になって何も言えず、上司の方から注意されたのがよほどつらかったようです。

会社を休んでは「私はダメ人間だ」と涙を流す娘を、友人に教えられた精神科クリニックへ連れて行きました。そこで社会不安障害という診断がつき、お薬をもらいました。医師に勧められて、しばらく会社を休んでカウンセリングも受けることにしました。

当初、娘は服薬を嫌がりましたが、医師の説明に安心したのかきちんと薬を飲んでいました。カウンセリングでは人前での緊張をやわらげるトレーニングを続けていると言っていました。治療を開始して2ヶ月後、次第に笑顔も戻ってきて嫌がっていた外出をするようになり、そろそろ職場に復帰したいと言うようになりました。

社会不安障害の特徴
社会不安障害の症状は、
(1)社交的な場面、状況に対して、強い緊張や不安を感じ、
(2)そのためにさまざまな身体症状が出たり、苦手な場面を避けようとするのが特徴です。

 例に挙げた女性は、会議に参加するという状況に対して強い不安を感じ、会議のことを考えるだけで腹痛が起きたり、会議に出席したくないために会社を休むなど、社会不安障害の症状を呈しています。
緊張や不安を感じる状況は、人によってさまざまです。例えば「他人と一緒に食事をする状況」や「初対面の人と話す状況」、「誰かに電話をかける状況」などが対象の場合もよくあります。かつて対人恐怖症と言われたものです。

この女性の場合は、会議という苦手場面を避けるあまり会社を休んでしまう等、日常生活に支障が出ています。
そのような状態になると、ご自身がつらいのはもちろんですが、周囲の人からも心配されるようになります。この方の場合は、ご家族が本人に受診を勧めて治療に結びつきましたが、学校や職場の上司の勧めによりクリニックを受診することもよくあります。

社会不安障害の原因は特定されていませんが、脳内の神経伝達物質(セロトニンなど)のバランスが乱れて不安を引き起こしているという説、恐怖や不安に関与する脳内の扁桃体が過剰に反応しているのではないかとの説があります。

セロトニン・・・精神を安定させる作用がある脳内の神経伝達物質

社会不安障害の治療
治療は、SSRIを中心とした抗うつ薬や抗不安薬による薬物療法、そして認知行動療法などの適切な精神療法です。

精神安定剤の効果や副作用には個人差があります。即効性がないとか副作用が出たからといって、すぐに諦めてしまわないことが重要なポイントです。服薬し始めて不快な副作用が現れたら早めに医師に報告してください。

社会不安障害は適切な治療によって症状が改善されます。
「もう治らない」「性格だから仕方がない」とあきらめる前に、クリニックの門をたたいてください。