不安障害

【不安障害の概要】

不安は誰でも経験しており、異常な現象ではありません。不安や恐怖は危険を察知して身の安全を守るための警報システムといえます。しかし、これが過敏に反応しすぎたり、コントロールできなくなった時には、いろいろな障害が生じ社会生活を送る上で支障をきたすようになります。この状態が治療を必要とする不安障害といえます。

不安とは「漠然とした恐れの感情」です。恐怖は「対象がはっきりしている恐れ」です。

治療を要する不安は、

1.不安に陥る理由がはっきりしない。
2.不安の状況を言葉で表現するのが難しい。
3.他人にわかってもらえない。
4.繰り返すか、長く続く。

の4点が特徴と言えます。

不安障害・分類

不安障害は次のように分類されます。

1.恐怖症性不安障害
A)広場恐怖:群衆や公衆の場所に行くこと避けたり、乗り物(電車、飛行機)に乗ることを恐れる。
B)社会(社交)恐怖:人前での発言、人前での食事などを恐れる。
2.漠然とした不安障害
A)全般性不安障害:特定の対象に限らず、さまざまことに不安を抱く。
B)パニック障害:予期できない不安発作を繰り返す。

その他に、不安を背景とした障害には次のものがあります。強迫性障害、身体表現性障害、PTSD(心的外傷後ストレス障害)、解離性障害。

不安障害の症状

不安障害に共通する症状には、精神症状、身体症状、生活面の障害があります。

1. 精神症状:不眠、不安、過敏、イライラ、緊張、混乱、抑うつ気分など。

2. 身体症状:動悸、胸部の不快感、息切れ、めまい、しびれ、腹痛、下痢などの自律神経症状。

3. 生活面の障害:不安症状が強くなると、外出ができない、一つの行動に時間がかかる、人前で発言できない、など社会生活を送る上での支障をきたすことがあります。

 

不安障害の治療

薬物療法、精神療法、生活指導があります。

 1. 薬物療法:主に抗うつ薬、抗不安薬を用います。抗うつ薬はSSRIを処方します。即効性はありませんが2~3週間で効果が出てきます。抗不安薬は即効性がありますが、多少の耐性・依存性がありますので漫然と長期に服用することはお勧めできません。

2. 精神療法:会話による治療です。患者さんの悩みに共感的に対応し、支持的に話し合うことが原則です。当クリニックでは臨床心理士が認知行動療法を取り入れた精神療法も実施しています。

3. 生活指導:睡眠の確保、規則的な生活、節酒、課題になっている行動を実行に移すなど、話し合いにより生活のありかたを検討します。 いずれかの治療法だけで良くなることがありますが、症状によりこれらの治療法を組み合わせた方が効果的なこともあります。